新堂冬樹『溝鼠』

新堂冬樹の小説『溝鼠』を読んでいたら,無駄な金はかけない主義の主人公につき,以下のような記述があった。

 鷹場はキャメルに火をつけ、新宿駅前の露天商から九百八十円で買った、安っぽい金メッキ張りの腕時計に眼をやった。秒(とき)を刻むことさえできれば、ロレックスである必要はない。

徳間書店・2002年・4頁・括弧内原ルビ)

しかし,「秒(とき)を刻むことさえできれば」というのなら,100円ショップの腕時計でも十分のような気がする。

そもそも家電量販店に行けば,980円の時計なんていくらでもある。私が見たことのある最安値は780円である。何も「露天商」などと怪しさを出す必要もない。

もっとも,ここではロレックスを買える金を持っているのにロレックスを買わないというところにポイントがあるのだから,それはそれでよいのかも知れない。

溝鼠 (徳間文庫)

溝鼠 (徳間文庫)

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