インターネットの時代

判例時報1946号101頁に掲載された「江戸時代の浮世絵の模写作品一点について,著作物性が否定された事例」(東京地判平成18年5月11日)の解説コメントに以下のような記述があることに気づいた。

(同事件については),その結論が報道されたことから,「模写作品であるならば,複製してもかまわないのか。」という趣旨の意見がインターネット上で見られたようであるが,各事件とも,複製か否かの判断基準を明示した上で,各原画の本質的特徴部分について,裁判所が丁寧に認定し,あてはめをしているのであるから,そのような批判は当たらない。

(同書105頁・第1段)

ここでいう「インターネット上」の具体的対象は定かではないが,その書きぶりからすると,一般のブログや掲示板の記載を指しているのではないかと思われる*1。そうであるとすれば,そのようなインターネット上の批判が,判例時報上で弁解するに値すると見なされたのであるから,その権威もなかなかのものである。

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従来,特定の判決に対する世間の反応を知るというのは,容易なことではなかったと思われるが,最近は,興味深い判決が報道されると,直ちにインターネット上で議論の対象となり,面白い時代になったものである*2。とはいえ,インターネット上の議論に対し,判例時報上でコメントを付けても,意味が薄いようにも思われる。

*1:探してみた限りでは,このコメントの言及する具体的対象に相当すると思われるものは見つけられなかった。

*2:もちろん,インターネット上の反応が,世間の反応の全てを代表しているわけでない。しかし,輿論とは,そもそもそういうものであるということもできる。

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