近ごろの若いもん・エジプト編⑵
もう少し具体的な典拠を示すものとして、アメリカの名門校ロックスベリー・ラテン・スクールの校長を務めたF・ワシントン・ジャービス師による学生向けスピーチの一節がある。
In the Cairo museum there is a tablet of stone—a six thousand-year-old tablet of stone—on which an Egyptian described his society. It reads: “Our society is degenerate. People no longer hold to the old values.” That Egyptian, caught up in the same conceit we're caught up in, believed he lived in a rapidly changing world—one that was qualitatively changing—and that most people had stopped adhering to the traditional values. ()
(参考訳)カイロ博物館には、あるエジプト人がその社会を描写した6000年前の石板があり、「我々社会は堕落している。人々は、もはや古くからの価値観を保持していない。」と書かれています。そのエジプト人は、我々が囚われているのと同じ慢心に囚われ、自分が、急激に変化、質的に変化する社会に生きており、多くの人々は、伝統的な価値観を支持することをやめてしまったと信じていました。()
もちろん、前述のとおり、「6000年前」の時点において、このような文章を刻んだ石板が存在するとは考えがたく、上記スピーチは自体は誤りなのであるが、注目したいのは、「カイロ博物館」という具体的な典拠に言及していることである。この点を手がかりに、何らかの探索をすることはできないであろうか。
しかし、カイロ博物館(エジプト考古博物館)は、の収蔵品は、12000点を超える。同博物館の公式サイトで検索すると、「WRITTEN DOCUMENT」に分類される収蔵品は12件にすぎないようであり*2、同サイト上でサムネイル画像を見ることもできるのであるが、果たして何が書かれているのか、それ以上の追求は私の能力を超える。
いずれにせよ、前記スピーチは、そもそも「6000年前」とする時点で間違っているのであるから、現物が確認されない以上、「カイロ博物館」という部分についても、探索の手がかりとしてはともかく、信用性のある情報とみることはできないであろう。
(続く)