横浜地方裁判所平成8年4月22日判決

横浜地方裁判所平成6年(ワ)第3770号損害賠償請求事件,交通民集29巻2号597頁)
  1. 車道外側線の外側部分は「歩行してはならない車道」だとして,歩行者側に45パーセントの過失相殺を認めた事例
  2. 当事者の主張部分では,車道外側線を表す白線を「外側線」と呼びながら,裁判所の判断部分では,車道外側線の外側部分自体を「外側線」と呼んでいる事例

主文

1 被告は原告Y1に対し,3114万6619円,原告Y2及び同Y3に対し,それぞれ1557万3309円及びこれらに対する平成4年5月某日から各完済まで年5分の割合による金員を支払え。

2 原告らのその余の請求を棄却する。

3 訴訟費用は,これを3分し,その2を被告の,その余を原告らの各負担とする。

4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

事実

第1 当事者の求めた裁判

一 請求の趣旨

1 被告は原告Y1に対し,9885万2755円及びこれに対する平成4年5月某日から完済まで年5分の割合による金員を支払え。

2 被告は原告Y2及び同Y3に対し,それぞれ4942万6337円及びこれに対する平成4年5月29日から完済まで年5分の割合による金員を支払え。

3 訴訟費用は被告らの負担とする。

4 仮執行宣言

二 請求の趣旨に対する答弁

1 原告らの請求を棄却する

2 訴訟費用は原告らの負担とする。

第2 当事者の主張

一 請求の原因

1 交通事故の発生

(1) 日  時 平成4年5月某日午後10時40分頃

(2) 場  所 横浜市栄区某町某番地某(県道31号線)先路上

(2) 態  様 訴外M.M(以下,Mという)が,前記日時,場所において道路を歩行中,K方面からT方面に向かつて,被告が保有し運転する大型貨物自動車(相模某,以下,加害車両という)が,Mに衝突し同人を跳ねとばし,多発性臓器損傷により即死するに至つた。

2 相続関係
 原告Y1(以下,原告Aという)は,Mの妻,原告Y2(以下,原告Bという)及び同Y3(以下,原告Cという)はMの子であるが,Mの死亡により同人の権利義務を相続により承継取得した(相続分は原告Aが2分の1,原告B,同Cは各4分の1)。

3 被告の責任
 被告は,前方不注視ないし減速義務違反の過失により本件事故を発生させたものであるから民法709条に基づき,また,被告は,加害車両を自己のため運行の用に供していたものであるから自賠法3条に基づき,後記損害を賠償する責任がある。

4 損害の発生

(1) 葬 儀 費 250万0793円

(2) 雑   費 3万1200円

① 死体検案書料 2万7600円

② 事故証明書代 3600円

(3) 逸失利益 1億145万9117円

(49歳から67歳まで)
年   収 1959万4212円
生活費控除 3割
ライプニッツ係数 11.690

(計算式)
1959万212円×0.7×11.690=1億6033万9437(円)

(68歳から78歳まで)
年   収 240万円
生活費控除 4割
ライプニッツ係数 7.722

(計算式)
240万×0.6×7.722=1111万680(円)

(4) 慰 謝 料 合計3600万円
 Mの慰謝料 2000万円
 原告A 800万円
 原告B,同C 400万円

(4) 小   計 合計2億0999万1110円

(5) 損害の填補 3000万3600円

(6) 弁護士費用 1700万円

(7) 本訴に要した費用 71万8000円

(8) 損害合計 1億9770万5510円

5 よって,被告に対し,原告Aは,9885万2755円,原告B及び同Cはそれぞれ4942万6377円及びこれに対する事故の日である平成4年5月某日から完済まで民法所定の年5分の割合による金員の支払いを求める。

二 請求原因に対する答弁

1 請求原因第1項の(1),(2)は認める。(3)のうち,Mが道路を歩行中に対向の加害車両に跳ねられ即死したことは認める。

2 同第2項は不知。

3 同第3項は否認する。

4 同第4項中,(1),(2),(8)は不知,同項の(6)は認め,その余はいずれも争う。

三 被告の主張及び抗弁

1 本件事故現場は,前記県道31号線上のA橋の上である.被告は,加害車両の進行方向の左側にMが外側線と右A橋との間の幅員1メートルの部分を対向して歩行しているのを認めたが,普通に歩行している様子であり,その時点でば危険を感じなかった。ところが,Mと加害車両とが約3ないし4メートルに接近したとき,突然Mが車道上に倒れ込んできた。被告は咄嵯にブレーキをかけると同時に右にハンドルをきって衝突を避けようとしたが,避けきれずMは加害車両の後部のトレーラ部分に衝突した。

2 自賠法3条による免責
 被告には,運行上の注意義務違反はなく,加害車両に構造上の欠陥又は機能の障害はなかつた。

3 仮に被告に何らかの過失があるとしても,被告には結果の回はほぼ不可能であるのに対し,被害者のMが結果を回避することは極めて容易であつたと認められるから,Mの過失がはるかに大きく,損害を算定するに際し考慮されるべきである。

四 被告の主張及び抗弁に対する認否

1 本件事故の衝突地点は,以下に述べるとおり,甲第4号証の1の見取図記載の衝突地点よりもK方面寄りである。すなわち,Mは加害車両によつて一旦同車両のフロントガラス付近まで跳ね上げられているのがOによつて目撃されていること,加害車両のトレーラー左側面下部の払拭痕,左後輪タイヤ部分に付着していた肉片及び血痕がMのものであるとすれば,Mは一旦跳ね上げられて落下した後にトレーラー左側面に巻き込まれてその下部を擦り,左後輪で轢過されたと見るべきである。右見取図における布ずり痕及び毛髪付近並びに飛散した血痕が,加害車両の左後輪で轢過された際の痕跡であるとすれぱ,Mと加害車両との衝突地点は,右見取図記載の衝突地点よりも金沢方面寄りである。仮に,加害車両の進行速度が時速50キロメートル,Mが約2メートルの高さまで跳ね上げられてから落下するまでの時間が1秒であるとすれば,同見取図記載の衝突地点よりも13.89メートルほど金沢方向に寄った地点が実際の衝突地点となる。

2 抗弁事実は否認する。
 加害車両は事故当時,本件事故現場付近の道路状況に照らすと,時速50キロメートルを超える速度で走行しており,衝突の態様は前記1のとおりであり,被告は,本件衝突直前,酔つぱらって足元がふらついているように見えたMを早期に発見できなかつたことから,被告には前方不注視ないし減速義務違反の過失がある。

3 抗弁3事実は否認する。
 本件現場付近は,前記A橋を迂回する歩道の橋が設けられていたものの,それより戸塚方向寄りの歩道は,幅員も狭く歩道上で歩行者がすれ違うことはおろか,歩行者が直進歩行することすら困難であつた。したがつてA橋付近の歩行者は車道上の外側線付近を進行することを余儀なくされており,仮にMがA橋の前後において右外側線付近を歩行していたとしても,道路事情からやむを得ないと言わざるを得ない。

第3 証拠関係

  本件記録中の書証目録及び証人目録の記載を引用する。

理由

一 請求原因第1項中,交通事故の発生日時,場所,事故の態様中,Mが道路を歩行中に対向の加害車両に跳ねられて即死したことは,当事者間に争いがない.

二 事故の態様について

1 成立に争いのない甲第4号証の1ないし4,弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる甲第9号証の1ないし1,2,同乙第1,第2号証の各1,2,証人O.Mの証言,原告A及ぴ被告本人尋問の各結果(ただし,証人O.Mの証言中,後記採用しない部分を除く)によると,次の事実が認められる.,

(1) 本件現楊は,東方金沢方向から西方戸塚方向に通ずる県道31号線の路上であり,中央にセンターラインがもうけられた片側一車線で,車道幅員は約7メートルありその両側は一段高く幅員約1メートルの歩道がある。

(2) 本件現場付近には通称A橋が架つているが,その道路部分は,車道の幅員が約7.5メートルあり,戸塚方面に向かつて左側に約1メートルの外側線が引かれ,さらに,約3.5メートルの幅員で歩道部分が迂回している(実際に歩行できる部分は約1・8メートル)。

(3) 現場付近の道路は平坦でほぽ直線であり,前方の見通しは良く,路面はアスフアルト舗装されている。道路端には水銀灯が約120メートル間隔で設置されており,前方左側歩道上の歩行者は約60メートルの地点において確認できた。

(4) 現場の道路規制は,最高速度が毎時40キロメートル,終日駐車禁止,追越しのため右側部分はみ出し通行禁止と指定され,道路標識が設置されていた。本件事故発生時頃,交通量が多いため相互通行を実施して実況見分が行われた。実況見分が行われた50分の間に歩道を通行した歩行者は約110名いた。

(5) 被告は,加害車両を運転して県道31号線を金沢方面から戸塚方面に向けて時速約50キロメートルで走行して前記A橋に差しかかつた際,Mが約22メートル前方のA橋上の車道にあたる外側線上を歩いているのに気付いた。加害車両とMとの距離が3ないし4メートルに接近したとき,Mが車道上によろけたのを見て,被告は危険を感じてハンドルを右に切つてブレーキをかけて衝突を避けようとしたが,加害車両はMに衝突した。右衝突地点は,外側線から車道内に約0.9メートル入ったところであつた。

(6) 加害車両の損傷箇所は,被牽引車であるトレーラーの左側面下部前先端から20センチメートルの位置に62センチメートル×12センチメートルの払拭痕が認められた他,左後輪タイヤ部分に30センチメートル×12センチメートル大の肉片及び血痕が付着していた。損傷箇所から判断すると,Mは加害車両の被牽引車の左側後部に衝突したものと推認することができる。

(7) 加害車両は,時速約50キロメートルで走行していたので,Mから100.6メートルないし147.7メートルの地点で被告はMを視認することが可能であつた。

(8) 被告はMに初めて気付いた地点の約1.8メートル手前でラジオ放送に夢中になり,Mを発見したのは,ラジオ放送に夢中になつた地点から更に約1.8メートル進行した地点で,Mから約22メートル離れた地点であつた。

  被告はMに初めて気付いた地点は,加害車両の速度が時速約50キロメートルであるから,時間にして約1.6秒の地点であつた。

(9) 本件現場付近の道路をMの後方を車で走行していた訴外O.M(以下,Oという)の目からは,前記A橋の手前で戸塚寄りの地点(目撃した地点から約50ないし100メートル)を人が酒に酔つて足元がふらついているように見えたが,歩道上を歩いていたのか,車道上を歩いていたのかは不明であつた。Mの妻は事故後,警察官からMは本件事故当時,飲酒していたことを聞かされた。

2 証人Oの証言中,前記1の認定に反する部分は後記3の理由により採用しない。

3 原告らは,Mは加害車両によつて一旦同車両のフロントガラス付近まで跳ね上げられて落下した後にトレーラー左側面に巻き込まれてその下部を擦り,左後輪で轢過されたと主張する。証人Oは右主張に符合する供述をするが,右供述は次の理由により採用しない。すなわち,Oは平成4年6月16日に実施された実況見分に立ち会つて指示説明をしたが,その際においても,現在においても,本件事故直前,被害者であるMをどの地点で発見したのかについてあやふやな供述にとどまり,加害車両の前の部分でMをはねあげたと供述するが,右実況見分の際の指示説明にはそのような記載は見当たらないこと,前記1の(6)で認定したように,Mは加害車両の被牽引車の左側後部に衝突したものと推認することができるから,右供述は採用しない。そうすると,前記1の(6)で認定したように,損傷箇所から判断すると,Mは加害車両の,被牽引車の左側後部に衝突したものと推認できるので,加害車両のトレーラー左側面下部の払拭痕,左後輪タイヤ部分に付着していた肉片及び血痕は,原告らが主張するように,Mが一旦跳ね上げられて落下した後にトレーラー左側面に巻き込まれてその下部を擦り,左後輪で轢過されたと見るべきではなく,加害車両の被牽引車の左側後部に衝突したことによるものであるとみるべきである。

三 成立に争いのない甲第3号証及び原告A本人尋間の結果によると,請求原因第3項(相続関係)の事実が認められる。

四 被告の責任の有無及び過失割合について

1 前記二で認定した本件事故の態様にもとづき倹討する。
 前記二の1の(5)ないし(9)の事実によると,被告は加害車両を時速約50キロメートルで走行していたのであるから,少なくもMから約100.6メートルの地点で視認することが可能であつたにもかかわらず,Mから約13メートルの地点に接近するまでMの存在に気付かなかつたのは,被告がラジオ放送に夢中になつていたためであると考えられる。
 前記二の1の(9)の事実によると,加害車両と対向して走行し本件事故を目撃したOは,約50ないし100メートル先の地点で酒に酔つて足元がふらついているMの存在に気付いていたのであるから,仮に,被告が前方注視義務を怠らなかつたならば,もつと早期にMを発見し,歩行者が車道上をふらついているのを認識することができ,そうだとすると,被告はMの動静を注視しながら減速するとか,対向車の有無を確認してMとの間隔をとつてMとの衝突を回避することができたというべきである。被告が早期にMを発見しておれぱ,加害車両の車長を考慮してもハンドルを右に切つて回避することは十分可能であつたと考えられる。
 しかるに,被告は,前方を注視を怠り,Mの発見が遅れそのため適切な回避措置をとることなく漫然と時速約50キロメートルで運転走行したものであるから,被告には前方不注視義務を怠つた過失がある。したがつて,自賠法3条による免責の抗弁は理由がない。

2 他方,被害者であるMにも次のような過失が認められる。すなわち,前記二の1の(2),(5)で認定したように,本件事故現場付近には歩行者用に幅員1.8メートルの歩道が設けられているのに,右歩道を歩行しないで,歩行してはならない車道である外側線を酒気帯びの状態で歩行していたこと,加害車両とMの衝突地点が車道上であることからMが外側線から車道内によろけながら進入したものと推認されることから,Mにも本件事故の発生につき過失がある。その過失割合は,被告が55パーセント,Mが45パーセントとするのが相当である。

五 そこで,原告らの損害について検討する。

1 葬 儀 費 120万円
 弁論の全趣旨により真正に成立したと認められる甲第7号証の1,2によると,仏壇,仏具代として55万5582円を支出したことが認められるが,Mの年齢,家族構成,社会的地位等を考慮すると,葬儀費用としては仏壇,仏具費用を含めて120万円を認めるのが相当である。

2 雑   費
 雑費として3万1200円の損害を被つたことを認めるに足りる証拠はないので,右請求は認められない。

3 逸失利益

(1) 逸失利益算定の基礎年収について
 本件の場合,平成4年1月から事故日までの収入を基礎として1年分を算出するべきか,平成3年1月から12月までを基礎として算出するべきか,問題があるが,次の理由により前者にしたがつて算出することにする。すなわち,平成3年の収入に関する,課税証明,源泉徴収票及び確定申告書における収入額はすべて異なつているため,右書類のなかでは確実な資料であると考えられる確定申告書を基準とするにしても,右申告書には,株式会社A及びK運輸株式会社からの収入が記載されていないこと,同申告書には受付印がなく,裏面が記載されていないこと,還付金があるにもかかわらずその振込先が記載されていない等,提出された確定申告書と同一の内容が記載されているか否か疑問があるところから,右確定申告書を基準とすることができない。
 そこで,平成4年の収入について検討するに,同年分の確定申告書及び源泉徴収票を基準に,以下のように修正したうえ,基礎収入を算定することとする。
 すなわち,平成4年分の確定申告書及び源泉微収票を基準にして年収を算出するにあたつて,平成3年分の源泉徴収票の記載内容をもとに平成4年分の収入を推測すると,Mは平成4年中に,株式会社Fから800万円(ただし源泉徴収票によると,150万円が支給されているが,これは同社の平成3年分の源泉微収票によると600万円が支給されているところから,5か月分が支給されたものと推認され,したがつて,平成4年分の収入は600万円であると推認される),F運輸株式会社から790万4822円(ただし,源泉徴収票によると,平成4年1月から8月まで支給されているので,1年分は395万2416円の二倍である790万4832円と推認される),K運輸株式会社から120万円(ただし,源泉徴収票によると60万円が支給されているが,右の60万円はF運輪株式会社と同様6か月分が支給されたものと推認されるから,平成4年分の収入は120万円であると推認される),株式会社Aから240万円(ただし,源景徴収票によると100万円が支給されているが,同社の平成3年分の源泉徴収票によると240万円が支給されているところから,5か月分が支給されたものと推認され,したがつて,平成四年分の収入は240万円であると推認される)の合計1750万4832円が支給されたことが認められる。

(2) 次に,Mの右年収を前提とする就労可能年数について,原告らは,Mの各会社における将来性及び安定性をもとに67年まで可能であると主張し,これに符合する原告Aの供述が存するが,原告AはMの生前の収入について正確に把握しているとは認め難く,ましてMの将来性について適正な認識を有しているか否か疑問であることから,右供述のみをもつてMの将来性を判断することはできない。
 原告A本人尋問の結果により真正に成立したと認められる甲第16号証及び同結果によると,Mは,F運輸株式会社の東京支店長(のちに参事となる),同社の関連会社である株式会社F,K運輸株式会社,株式会社Aの代表取締役を勤めていたが,Mがオーナーであるのは株式会社Aのみであつて,他は委任関係にすぎない会社役員であることが認められ,右事実によれば,右各社からの給与を合計したMの収入は,大部分が不安定な地位にもとづく役員報酬であるから,右報酬が長期間にわたつて継続する蓋然性は高いとはいえない。しかし,Mがオーナーである株式会社Aについては,死亡するまで同様の地位にあるものと認められる。
 他に,Mの将来性についての的確な証拠及びMの前記報酬が長期間継続する蓋然性を認めるに足りる証拠はない。
 したがつて,Mの右年収を維持し得る就労可能年数は49年から60年までの12年間(その間の生活費控除割合は3割とする。ライプニッツ係数は8.8632)61年から67年までの7年間(その間の生活費控除割合は4割とする。ライプニツツ係数は5.7863)は賃金センサス平成5年の高卒全年齢平均賃金(517万5400円)を基準とし,68年から78年(49歳の平均余命)までの11年間(その間の生活費控除割合は5割とする。ライプニッツ係数8.3064)は,Mが株式会社Aから得ていた年収(240万円)を基準として逸失利益を算定するのが相当である。

(計算式)

①49年から60年までの逸失利益
1750万4832×0.7×8.8632=1億0860万41789(円)(円未満切り捨て,以下同様)

②61年から67年までの逸失利益
517万5400×0.6×5.7863=1796万7850(円)

③68年から78年までの11年間の逸失利益
240万×0.5×8.3064=996万7680(円)

(3) 逸失利益の合計
1億0860万4178+1796万7850+996万7680=1億3653万9708(円)

4 慰謝料
 原告らの精神的苦痛に対する慰謝料としては,Mが一家の支柱であることから,Mが1500万円,原告Aが500万円,原告B,同Cが各200万円の合計2400万円とするのが相当である。

六 損害賠償請求権の相続
 成立に争いのない甲第3号証及び原告A本人尋問の結果によると,原告AはMの妻,原告B及び同Cは,Mの子であるが,Mの死亡により同人の権利義務を相続により承継取得した(相続分は原告Aが2分の1,原告B,同Cは各4分の1)ことが認められる。

七 過失相殺
 前項の損害合計1億6053万9708円につき前記四で判示したとおり45パーセントの過失相殺をすると,原告らの損害額は8829万6839円となる。

八 損害の填補
 原告らは,自賠責保険から3000万3600円の給付を受けたことは当事者間に争いがない。これを前項の過失相殺後の金額から控除すると,原告らの損害残額は5829万3239円となる。

九 弁護士費用
 本件の認容額,事案の内容その他諸般の事愉を考慮すると,弁護士費用として,原告らにつき合計400万円が相当である。

一〇 本訴に要した費用
 訴訟費用に関するかぎりは,訴訟費用の負担を命ずる裁判と,訴訟費用額確定決定にもとづいて償還を求めるべきであり,また求めることができるのであるから,損害賠償として別訴訟で請求することはできない。したがつて,訴訟費用である貼用印紙及び予納郵券を損害賠償として請求することはできない。

一一 以上のとおり,原告らの損害は,合計6229万3239円となるので,原告Aの損害額は,3114万6619円,原告B及び同Cは各1557万3309円である。

一二 結論
 以上のとおりであるから,被告に対し,原告Aは3114万6619円,原告B及び同Cは各1557万3309円及びこれに対する事故の日である平成4年5月某日から完済まで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度において理由があるのでこれを認容し,その余は失当としてこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき民訴法89条,92条を,仮執行宣言につき同法196条1項を各適用して,主文のとおり判決する。

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