「ゑ」だから「YEBISU」なのではない。

エビスビールが「YEBISU」と書かれる理由は,中世の日本語では「え」を「ye」と発音しており,それを写した古いローマ字表記が残っているからである。「えびす」を「ゑびす」と書くことがあることとは無関係である。

消費生活協同組合法の正書法

消費生活協同組合法の原附則には、「消費生活協同組合えの組織変更」、 「市街地信用組合えの転移」など、助詞の「へ」を「え」とする不思議な表記がある。

或書曰 - 三保忠夫『数え方の日本史』

三保忠夫『数え方の日本史』は, ウサギを「一羽二羽」と数えることについて、そのような数え方は、中世の故実書や近世の書札礼などには見られず、もともとは文字を持たない庶民層の生活語にであったのではないかなどと指摘する。

「水源」という熟語の構成要素

「水源」という熟語に含まれる「源」という字、「源」という字に含まれる「原」という字、「原」という字に含まれる「泉」という字は、いずれも「水源」という意味である。

緋袴と濃袴⑶

女性の袴の色について,「未婚者は緋色,既婚者は濃色」する見解は,諸説の中のひとつに過ぎない。それは若年と非若年を区別するひとつのメルクマールに過ぎず,それを超える何か特別な意味があるわけではないと考えられる。

緋袴と濃袴⑵

確かに,装束の解説書には,「未婚者は緋色,既婚者は濃色」という見解を支持するものもある。しかし,有職書にも,その使い分けについて,年齢をメルクマールとするものやハレとケを問題とするものなど様々な見解があり一定しない。

緋袴と濃袴⑴

女房装束などの袴の色について,「未婚者は濃色,既婚者は緋色」と言われることがある。しかし,平安・鎌倉期の実際の用例を見ても,このドレスコードは,少なくとも絶対的なものではなく,せいぜい一つの基準に過ぎないように思われる。

「兄弟」が「sister」を意味する件

「兄弟」と書いて兄弟姉妹を指す用例は『古事記』に遡るが、男子に対する呼称で男女を代表する一例にすぎないであろう。他方、「姉妹」と書いて「きょうだい」と読むのは、「当て字文化」の一種と考えられようか。

名古屋地方裁判所平成15年6月3日判決

「西行き車線の幅員は4.0メートル,東行き車線は4.1メートルであり,その外側にはそれぞれ1.0メートルの路側帯があり,さらに,その両側に歩道がもうけられている。」として,車道と歩道の間の部分を「路側帯」と呼んでいる事例

路側帯のようなもの(資料編)

東京高等裁判所昭和53年3月8日判決 (昭和53年(う)第456号業務上過失傷害被告事件,東高刑時報29巻8号149頁,第一審・武蔵野簡易裁判所) 車道外側線の外側部分を表す白線を,道路構造令2条11号の側帯を表す白線であるとした事例 車道外…

横浜地方裁判所平成8年4月22日判決

車道外側線の外側部分は「歩行してはならない車道」だとして,歩行者側に45%の過失相殺をした事例。 当事者の主張部分では,車道外側線を表す白線を「外側線」と呼び,裁判所の判断部分では,車道外側線の外側部分自体を「外側線」と呼ぶ事例

平成16年法律156号による改正前の刑法

刑法は,平成16年12月8日法律第156号による改正によって,いわゆる厳罰化が行われ,有期懲役刑の上限の見直し,強姦,殺人,傷害等の各罪の法定刑の引き上げ,集団強姦罪等の新設がなされた。本資料は,その厳罰化前の条文である。

帝王切開の語源に関する覚書(参考編)

帝王切開を意味する「sectio caesarea」の語源について、各国の辞書を整理すると、(1)ユリウス・カエサル説、(2) ラテン語「caedere」説、(3)カエサル法説、(4)ラテン語「caesar」説が百家争鳴している。

帝王切開の語源に関する覚書(3)

イシドルス(c.560-636)の『語源』の記述なども勘案すると、結論として、「section caesarea」の語源は、究極的にはラテン語「caedere」であるが、直接的にはカエサルの伝説に関係するといえようか。

帝王切開の語源に関する覚書(2)

帝王切開を意味する「sectio caesarea」が、16世紀に帝王切開術が可能になって、新たに造語されたものであることは確かのようである。フランスの辞書の多くは、この語源をラテン語「caesar」に求める。

帝王切開の語源に関する覚書(1)

ラテン語「sectio caesarea」の語源には諸説がある。この点の議論の出発点となるプリニウスの『博物誌』を再検討してみると、この単語は,少なくともプリニウスの時代までのラテン語には存在しなかったことに気づく。

家名と諱の直結

角田文衛氏は,明治4年以前,家名と諱を直結することは「絶対に許されない」ことであったという。しかし,実際には,愚管抄を始め,前近代の史料にも,家名と諱を直結した記事を見つけることができる。

路側帯のようなもの(3)

敢えて言えば、「歩車道の区別のある道路における車道外側線の外側」は、道路構造令にいう「路肩」である。しかし、いずれにせよ、当該部分が道路交通法上の車道であることにかわりはない。

路側帯のようなもの(2)

車道外側線の外側は「車道」ではないから,車両が通行することは許されないとする裁判例もある。しかし、これは道路法上の概念と道路交通法上の概念を区別していない点で誤りである。

路側帯のようなもの(1)

車両は、「歩車道の区別のある道路における車道外側線の外側」を通行してよいかという問題がある。結論から言えば、これは道路交通法上の「車道」であり、この部分を車両が通行することは、原則として適法である。

新堂冬樹『溝鼠』

新堂冬樹『溝鼠』には、980円の金メッキの腕時計を着けた主人公について「秒(とき)を刻むことさえできれば、ロレックスである必要はない」とする記述がある。しかし、そうであれば,100円ショップの腕時計でも十分な気がする。

Google未登録単語集 No.6

"沿道便益権"、"後退地役"、"底面凍上"、"雪だるま売買"、"ブントシューの一揆"、"上皮間充織界面"、"ヘルプスト小体"、"あらがねビール"、"五一型遮断効"、"スィユーム"、"トゥレファ"、"親密性平衡理論"、"会話調整ルール"

Google未登録単語集 No.5

"計算用電子管"、"団亀笊"、"宇宙配置観"、"祝詞寓意"、"賀茂祭部類記"、"半カント学派"、"陰影魂"、"金蒔き童子"、"丁未政争"、"放置式漏れ試験"、"接触溶接棒"、"内貨融資比率"、"窓明料"、"催合仕事"、"老ね過ぎ"、"ゴボー老人"、"王室饗宴長官"

間違いだらけの痴漢冤罪回避マニュアル

痴漢冤罪回避マニュアルと称するコピペが,ネットを賑わしたことがあった。しかし,このマニュアルは,法律的にみて,明らかな誤りを含む。 貴方(身分証を提示、名刺を渡す) 「私は痴漢ではありませんし、住所・氏名を明らかにしました。 刑事訴訟法217条…

文化財保護法と行旅病人及行旅死亡人取扱法

発掘された人骨が、行旅病人及行旅死亡人取扱法の適用を受けるのか、文化財保護法の適用を受けるのかを調整する立法はない。断片的な情報を総合するに、実際の取扱いは,埋蔵文化財の認定を受けるか否かで区別されているようである。

長い読みの漢字?

1.問題の所在 かねがね気になっていたのだが,漢字を扱ったサイトで,しばしば「最も長い読みの漢字は何か」という記事を見かける。 読みが長い漢字(新感覚!「楽しむ漢字」の辞典) 日本で一番長い読みをする漢字(お宝ホーム) 長訓読み選手権(曉に死…

Google未登録単語集 No.4

"二股文"、"蛸絡げ"、"乱がしい"、"テトラドランマ"、"転徐注擬"、"河内青玉女"、"キレート洗脱"、"若みんづり"、"凍上擾乱作用"、"塩化類層"、"糸割符由緒記"、"釈古学派"、"計算用電子管"、"外部装着発破"、"石灰土壌物質"、"ちょうこくしつ室座システム"…

糸脈の真偽

「糸脈」という診断法(貴人の肌に触れるのをはばかり、絹糸の一方を患者の手の脈どころに巻いて,離れたところから糸に伝わる脈搏を間接的にはかる方法)は、現実には存在しなかったと思われる。

大阪高等裁判所平成14年1月25日判決

車道外側線の左側部分は,車道とはいえないことが明らかであり,したがって,車道ではない,このような部分を車両で通行することは通行区分に違反し,特別の場合を除いて許されないものと解すべきであるとした事例

神の全能性に関する覚書

神も丸い三角を作ることは出来ないから,全能ではありえないという疑問は古来からある。これに対するデカルトのメルセンヌ宛書簡における回答とトマス・アクィナスの神学大全における見解をメモする。

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